「まなざし会」暁晃山本部 捜査資料
作成日: 2015年8月2日
文責: 警視庁 捜査一課 瓶子雄一朗 警部補
本資料は、暁晃山山間部に所在する宗教法人「まなざし会」本部施設への捜査記録である。
1. 信者の供述
本件に関し聴取を行った複数の信者は、建設中の施設について「選ばれし者のための住まいであり、建設に携わることは名誉なこと」との趣旨で供述した。
また自らのコミュニティで暮らすことに特権的な意識を持っている様子がうかがえた。
各人の供述内容には論理的な飛躍が多く、精神鑑定を待つ事となった。
2. 精神鑑定結果
複数の信者に対する精神鑑定の結果、「現実と理想との区別が困難な状態にあり妄信的な思考が見られる」と指摘された。
一部の対象者においては「すべては明らかにされる」「すでに現れている」等の支離滅裂な発言が繰り返され、対話による聴取が困難な事例も報告された。
要保護と判断された者については、専門医の診断のもと継続的な経過観察とする。
なお、一部信者には精神的ストレスに起因する心身症の兆候も認められた。
3. 所見
以下は本件の初期捜査を担当した私、瓶子による所見である。
・コミュニティについて
当該施設では、老若男女を問わず多数の信者が熱心な祈りを捧げるなど強固な共同体を形成していた。
山間部にありながら、内部は一つの街として機能するほどのインフラが整備されており、外部に察知されずこれほどの規模のコミュニティが形成された事実は特筆すべき点である。
近隣住民への聞き込みでは、接触は限定的ながらも悪い評判はなく、地域社会に対して一定の配慮をしていた様子がうかがえる。
・施設内部の状況について
各施設は、建築知識を持つ信者の手で設計・管理されていたと推測され、簡素ながらも清潔感は保たれていた。
特に、押収した設計図とも一致する大規模な地下シェルターの存在は本件の特異性を物語っている。
施設内の各部屋は装飾に乏しいものが大半であったが、一室のみ絵画の複製が飾られていた。
これは教団幹部など、特定の待遇を持つ者の居室と推測されるが詳細は不明。
当該絵画は、ルネ・マグリット作のパイプを描いた作品と見られ、他の簡素な部屋と比較し異質な印象を受けた。