「まなざし会」事件 担当捜査員による調査報告
作成日: 2015年12月10日
作成者: 警視庁捜査一課 瓶子 雄一朗 警部補
1. 調査目的
本捜査は宗教法人「まなざし会」施設より保護された元・流代山診療所院長、三ツ井 功氏の供述内容の裏付け調査である。 特に平成11年(1999年)に同施設内で生まれたとされる児童の、その後の行方に関する事実関係の確認を主とする。
2. 調査経緯
三ツ井氏の供述を元に、海棠孝の足取りを追う方針にて捜査を行った。 彼が向かった可能性のある近隣県の児童養護施設を対象に聞き込み調査を実施。 17年前の事案であり捜査は難航を極めたが、供述と完全に一致する情報を入手した。
3. 判明した事実
社会福祉法人「たいようの園 児童保護施設」の当時の職員より、以下の証言を得た。
・乳児の発見日時
平成11年(1999年)7月7日 午後5時頃。
・発見状況
施設の玄関前に身元不明の乳児が一人置かれているのを発見。乳児は毛布にくるまれ健康状態は良好。生後間もないと見られた。届け出た人物は不明。
・遺留品
乳児の傍らにメモが置かれていた。
メモの内容から事件性は無いものと判断。
・その後の経緯
施設に保護された児童は、約一年後ある夫妻の養子として迎え入れられた。
戸籍上も同夫妻の実子に準ずる形で登録されている。
4. 所見及び措置
三ツ井氏の供述は、本調査結果をもってその信憑性が裏付けられた。
海棠は子を俗世へ逃したと断定される。
教団が対象者を発見できずにいる理由は、いくつかの複合的要因によるものと推測される。
第一に、彼らが当初「死産」と誤信したことによる初動の遅れである。
海棠の失踪後、偽装工作に気づくまでの数日間のタイムラグの間に児童は公的な保護下に置かれた。
第二に、児童が早期に一般家庭の養子となったことである。
一度、個人の戸籍が作られてしまえば外部団体による追跡は極めて困難となる。
特筆すべきは、教団がこの失敗から学習している点である。
関連団体であるNPO法人「まなざしライフ」は、児童支援を名目に、複数の児童養護施設から個人情報の提供を受けている事実が確認された。
これは、過去に直面した「公的な壁」を突破するための、戦略的手段である可能性が極めて高い。
以上のことから、海棠が残したメモはこの児童が「まなざし会」の『神の子』であるという証拠になり、
これが公になれば再び教団の標的となる恐れが非常に高い。
海棠が残したメモは、重要参考物件として警視庁にて別途保管。施設の記録には「遺留品はなし」とするよう、記載の修正を要請した。
【以下、公安特務専従室追記】
当該児童を警視庁内規『特殊保護児童対象者規定』に基づき、特殊保護児童対象者として認定し、以下の措置を講じる。
措置: 該当児童の出自に関する本調査記録の一切を、以下のコードをもってアーカイブ措置とする。 アーカイブコード: ██████████